空き家管理マニュアル:Ⅷ.空き家に関する知識(保険)
2016/04/211.火災保険について
火災保険は、火災だけではなく住まいや家財を取り巻く、いろいろなリスクに対応しています。火災保険は、その対象を①建物のみ ②家財のみ ③建物+家財の3パターン対象があります。ここでは、火災保険の概要について説明します。
※火災保険加入の際は、空き家は一般住宅物件として、引き受けてもらえない場合もありますので、慎重に対応する必要があります。
①建物に対する保険
- 火災リスク
火災によって建物が受けた被害に対して保険金が支払われます。
※地震による火災の場合は、地震保険に加入していないと保険金は支払われません。 - 風災リスク
風災、雹(ひょう)災、雪災によって建物が被害を受けた場合に保険金が支払われます。
例:台風の風で屋根が壊れた。 - 水災リスク
水災(床上浸水、地盤面より45cmを越える浸水、または損害割合が30%以上の場合)により建物が被害を受けた場合に保険金が支払われます。 - 水濡れ等リスク
水濡れ、建物の外部からの物体の衝突、労働争議等に伴う破壊行為等により建物が損害を受けた場合に保険金が支払われます。 - 破損等リスク
上記以外の偶然な事故により建物が破損等の損害を受けた場合に保険金が支払われます。
例:うっかり窓ガラスを割ってしまった。
■前記の損害保険金に加えて費用保険金として、下記が支払われます。
- 損害拡大防止費用保険金
火災、落雷、破裂・爆発の事故が生じた場合に、損害の発生および拡大防止のために支出した必要または有益な費用。
例:消防車が来る前に消火器を使って消火活動をした。使った消火器の消火剤のつめかえ費用。 - 失火見舞費用保険金
保険の対象から発生した火災、破裂・爆発の事故によって、近隣等第三者の所有物に損害が生じたときの見舞費用。1事故1被災世帯あたり50万円。ただし、支払限度額(保険金額)の20%が限度となります。 - 修理付帯費用保険金
損害原因調査費用、損害範囲確定費用、試運転費用、仮修理費用、仮設物設置費用、残業勤務・深夜勤務等の費用などの費用保険金があります。 - 請求権の保全・行使手続費用保険金
他人に損害賠償の請求ができる場合、その請求権の保全または行使に必要な手続きをするための費用。 - 水道管凍結修理費用保険金
建物の専用水道管が凍結によって損害を受け、修理したときの修理費用。1事故あたり10万円が限度です。 - 地震火災費用保険金
地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災で、保険の対象(建物)が半焼以上(20%以上の損害)を受けた場合に、支払限度額(保険金額)の5%が支払われます。ただし、1事故1敷地内あたり300万円が限度です。
■具体的な保険金額
例:三重県津市で土地2736㎡、建物平屋、121㎡ 昭和43年建築で、満額(約定割合100%)加入で¥45720(年額) うち地震保険分¥18360(地震保険を加入しなければ、¥27360)約定割合を下げれば、もう少し安くなります。
②家財に対する保険
建物のに対する火災保険とは別に家財に対する火災保険があります。建物・家財を単体で加入もできますし、両方加入することもできます。 家財に対する火災保険は、保険会社にもよりますが通常1口100万円単位で口数に応じて加入できます。
空き家の場合必要ないといわれる方も多いのですが、建物だけで家財を加入していないと万一の場合に備えられな
い場合がありますので、最低限の金額だけでも加入していただくようにお勧めしています。
また、建物単体で加入されている場合は、火災等の災害が発生しても、建物に関する保険金のみで家財にたいしては支払われないことに注意しないといけません。
- 火災リスク
火災、落雷、破裂・爆発により家財が損害を受けた場合にその損害に対して保険金が支払われます。
例:建物火災でベッドが燃えてしまった。もえたベッドの損害に対して保険金が支払われます。落雷で、テレビが壊れた。建物に被害が無く、家財だけに被害が及ぶ場合もあります。この場合は、壊れたテレビの損害に対して保険金が支払われます。 - 風災リスク
建物と同様で、風災、雹(ひょう)災、雪災によって家財が損害をを受けた場合に保険金が支払われます。
例:台風で窓ガラスが割れ、入り込んだ風でTVが倒れて壊れた場合、TVの損害に対して保険金が支払われます。 - 水災リスク
建物と同様で、水災(床上浸水、地盤面より45cmを越える浸水、または損害割合が30%以上の場合)により家財が被害を受けた場合に保険金が支払われます。
例:大雨で家具が水浸しになった損害に対して、保険金が支払われます。 - 盗難リスク
建物には無い補償です。泥棒に入られた場合、盗難にあった損害(現金等を除く)に対して保険金が支払われます。持ち出し家財に対しても適用されます。
例:泥棒に入られて、テレビを盗まれた場合、盗まれたテレビの損害に対して保険金が支払われます。 - 破損等リスク
火災、水災、風災、盗難以外の偶然な事故による破損の損害に対して保険金が支払われます。
例:テレビを移動中にうっかり落としてしまいテレビを破損した場合、その損害に対して保険金が支払われます。
2.地震保険
地震保険とは
- 地震保険は、法律(「地震保険に関する法律」)に基づいて、政府と民間の損害保険会社が共同で運営している制度です。
- 居住用建物またはその建物に収容されている家財が対象となります。
- 利潤をとらず、保険料は準備金として積み立てられます。
- 地震災害による被災者の生活の安全に寄与することを目的としています。
①保険金額の限度(地震保険)
地震保険は、建物・家財に加入できますが、基本となる火災保険の保険金額(契約金額)の30%~50%の範囲内で地震保険の保険金額(契約金額)を定めて加入します。ただし、同一敷地内ごとに建物5000万円、家財1000万円が限度となります。マンション等の区分所有建物の場合は、各区分所有者ごとに限度額が適用せれます。
②保険金の支払い(地震保険)
地震保険の支払いは「全損」「半損」「一部損」の3つのパターンしかありません。
■建物の場合
- 全損
支払金額:契約金額の100%(時価が限度) 地震等により損害を受け、1)主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価の50%以上となった場合、または2)焼失もしくは流出した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合。 - 半損
支払金額:契約金額の50%(時価の50%が限度) 地震等により損害を受け、1)主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価の20%以上70%未満となった場合、または2)焼失もしくは流出した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満となった場合。 - 一部損
支払金額:契約金額の5%(時価の5%が限度) 地震等により損害を受け、1)主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)の損害の額が、その建物の時価の3%以上20%未満となった場合、または2)建物が床上
浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を受け損害が生じた場合で、全損・半損に至らないとき。
■家財の場合
- 全損
支払金額:契約金額の100%(時価が限度)。地震等により損害を受け、損害の額が家財全体の時価の80%以上となった場合。 - 半損
支払金額:契約金額の50%(時価の50%が限度)。地震等により損害を受け、損害の額が家財全体の時価の30%以上80%未満となった場合。 - 一部損
支払金額:契約金額の5%(時価の5%限度)。地震等により損害を受け、損害の額が家財全体の時価の10%以上30%未満となった場合。
③地震保険を支払われない例
- 保険契約者、被保険者(補償を受けられる方)の故意もしくは重大な過失または法令違反による事故
- 地震等の際における紛失または盗難
- 戦争・内乱などによる事故
- 地震等が発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた事故等