自治体(市町村)向け空き家対策資料
空き家対策シンポジウムでの報告
●2018年1月30日(火)
三重県地方自治研究センター主催の「空き家対策シンポジウム」での弊社社長の報告
自治体向け空き家対策ガイドブック
自治体(市町村)が、空き家対策を行う場合のガイドブックを作成しました。三重県版です。
要望があれば、他府県版も作成します。詳細は、問合せフォームよりお問い合わせください。
●空き家の現状と対策
~自治体に望まれる効果の出る対策とは~
目次
1.空き家の現状と今後
1-1.空き家数と統計資料の読み方
1-2.平成25年住宅土地統計調査の実数(全国と三重県)
1-3.三重県の住宅・空き家数の推移(住宅意土地統計調査より)
1-4.空き家はどこに多く存在(発生)するのか。
1-4-1.空き家の多く存在するところは
1-4-2.空き家の今後発生する場所は
1-5.現在の空き家数や増加率を把握する
2.空き家の状態を考える
2-1.空き家外部の状態での分類
2-2.空き家内部の状態での分類
3.なぜ空き家のままで放置されるのか
4.空き家で無くなるためには
4-1.売却
4.2.居住又は利用
4-2-1.賃貸外での居住
4-2-2.賃貸での居住(1軒貸し)
4-2-3.賃貸での居住(部分貸し:シェアハウス等)
4-2-4.居住外での利用:民泊物件として利用
4-2-5. 居住外での利用:企業への賃貸
4-2-6.居住外での利用:コミュニティスペース等の利用
4-3.解体
4-3-1.危険老朽空き家の所有者負担による解体
4-3-2.寄付による危険老朽空き家の自治体による解体
4-3-3.上記以外の解体
5.空き家対策の課題
5-1.形だけの空き家対策とは
5-2.効果のある空き家対策とは
6.空き家対策の注意点
7.理想的な空き家対策
8.現状に則した自治体(市町村)の空き家対策
9.まとめ
一部資料抜粋
全国の空き家対策から分析すると。
弊社は、全国の自治体(市区町村)の空き家に関する補助金や制度を調べた結果、補助金は、大きく分けると4項目、制度は大きく分けると2項目に分けることができます。
1.補助金
1-1.危険老朽空き家の除却に対する補助金
1-2.空き家の家財道具などの処分に関する補助金
1-3.空き家の改修に関する補助金
1-4.その他の補助金
2.制度
2-1.空き家バンク制度
2-2.その他の空き家に関する制度
です。夫々について次に解説します。
1-1.危険老朽空き家の除却に対する補助金
危険老朽空き家の除却に対する補助金ですが、予算の範囲内というのは、どこの自治体でも同じですが、補助金の額や補助率には格差があります。
上限補助金額・・・・・10万円~100万円以上
補助率・・・・・・・・発生した費用の1/3~2/3
※地域や解体家屋の大きさによっても費用は異なりますが、危険老朽空き家の数(かなり多い)を考えると、早めに対策が必要であり、ここでケチれば、所有者不明で自治体全額負担など費用が増大することが懸念される
三重県で土地300㎡建物100㎡の平屋建の木造家屋を解体しようとすると、費用は少なくとも約40万円~120万円。このことから考えれば、最低補助率1/2以上で上限金額50万円以上の補助金が望ましいと考えます。(総額予算限度は必要)
■解体業者によって費用にかなりの開きがあるので、自治体から複数の業者に見積もりを取ることを所有者に案内することも肝要です。
1-2.空き家の家財道具などの処分に関する補助金
総務省住宅土地統計調査の「その他の空き家」は、空き家全体の約4割を占めます。この「その他の空き家」の9割以上は家の中に家財道具などの私物が残ったままの状態の為、流通(賃貸、売買)に出てきません。
また、固定資産税が住宅用で特例措置で減額されていて安いので、所有者も空き家を片づけることに対して積極的ではなくなってきています。
この「その他の空き家」の所有者に対し、いかに早く空き家を片づけてもらい、流通に出すことが重要なポイントです。
5DKの空き家で、家具等の量が40㎥とすると産業廃棄物事業者で40万円~、一般廃棄物処理業者で25万円~ぐらいです。さらに、前向きに空き家の方づけに誘導するためには、補助率2/3、上限金額20~30万円が望ましいと考えます。(総額予算限度は必要)
また、補助については、面倒でも職員による事前と事後の現場確認が望まれます。
■全ての家財道具を片づけずに一部を移動して空き家を部分貸しにする方法があることを所有者に案内すべきです。
1-3.空き家の改修に関する補助金
全国の空き家改修に関する補助金制度の対象者のほとんどは、転入者(移住者)が空き家を購入又は賃貸する場合に対象となるケースです。移住者を増やし税収を増やすことに起因していると考えられますが、空き家の所有者に空き家を片づけて流通させるようにするためには、やはり空き家所有者に対しての補助が最も効果的となります。
例えば
空き家を補助金を受けて片付けても、お風呂が古くて使えない⇒売却、賃貸しても金額が叩かれる。(流通させるのに消極的になる)
空き家を補助金を受けて片付け⇒最低限生活ができるようお風呂を補助金を受けて改修⇒流通に出す
⇒適正な金額で売却や賃貸できる。(つまり、所有者が空き家を流通させようと考える)
空き家を流通させるまでの意識をつけるためにも、空き家の改修は所有者に対して行うべきと考えます。また、改修については、グレードアップではなく最低限生活ができるレベルまでの改修を前提とし、補助率1/2、上限金額30万円が望ましいと考えます。
※空き家バンクへの登録による賃貸や売買の条件下での補助金制度でも問題ありません。
※耐震基準に合致する物件に限って補助金の対象とする自治体もありますが、空き家の9割以上が昭和56年以前の建物で、耐震基準を満たしていません。このハードルはかなり高いので、出来れば設けない方が良い。
1-4.その他の補助金
その他の補助金には
- 空き家バンク登録への補助金
- 空き家バンクからの物件購入に対する補助金
- 空き家バンクから物件購入の不動産購入手数料に対する補助金
- 空き家バンク登録紹介に対する謝礼
などがあります。
2-1.空き家バンク制度
空き家バンク対象物件は、前項のグラフより「賃貸用の空き家」です。この「賃貸用の空き家」には、アパート等の賃貸物件の空き家(=空室)も含まれています。賃貸用の空き家は全体の約52%、そのうち賃貸物件の空室が30%と推定すると、空き家バンク対象物件は全体の約16%となります。
一つの市での空き家総数を10,000戸と仮定すると空き家バンク対象物件は1,600戸。その中で空き家バンク登録が5%としても80戸が登録されることになります。
多くの自治体で空き家バンク制度は採用されていますが、登録件数としては対象物件の1%未満。空き家総数の0.1%未満という自治体がほとんどです。
空き家バンク制度は、空き家対策の効果が考えられる一つの手法ですが、空き家所有者の立場に立って構築する必要があります。
所有者の心理は
- 所有者は固定資産税さえ払えば、空き家を物置として使える。
- 家財道具を片づけるのが面倒だ。費用が掛かる。
- 想い出が残っているので、貸したりしたくない。
- 空き家の情報は、空き家であることが判るのでオープンにしたくない。
空き家バンクの登録件数を増やす方法として
- 家財道具処分や空き家改修の所有者への補助金制度を手厚くする。
- 家財道具が残っていても登録できるようにする。(片づけを強要しない)
- 情報は、すべてオープンにする方法と一部オープンにする方法など、所有者の希望に応じて開示表法を決定する。
- 情報の全てを開示希望者は、氏名等を登録してから行なう。
などが考えられます。
2-2.その他の空き家に関する制度
その他の空き家に関する制度としては
- 空き家を自治体が年数を決めて借上げ、自治体が改修し、町営住宅や移住希望者への賃貸などとする制度。
- 老朽空き家に関しては、自治体への寄付を受付け、自治体が除却し、防災用地や公園などに利用する。
などがあります。