空き家を無償で譲渡した場合、税金はどうなるのか。
2026/05/13空き家を無償で譲渡した場合、税金はどうなるのか。
目次
① 売る人(譲る人):個人 / 買う人(もらう人):個人 の場合
② 売る人(譲る人):個人 /買う人(もらう人):法人(会社)の場合
③売る人(譲る人):法人(会社) /買う人(もらう人):個人 の場合
④売る人(譲る人):法人(会社) /買う人(もらう人):法人(会社)の場合
◆追加資料 贈与税の税額
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空き家を相続したときに発生する相続税、またその相続した空き家を売却するときに発生する譲渡益に対する税金等、空き家には様々な税金が発生する可能性があります。
今回は、空き家を「タダ(無償)」であげた場合の売る人(譲る人)、買う人(もらう人)に発生するだろう税金について考えてみます。
空き家を「タダ(無償)」であげたり、もらったりしたときでも、日本ではいくつかの税金が発生します。ここでは、売る人(譲る人)と買う人(もらう人)が「個人」か「法人(会社)」かで、4つのパターンに分けて、説明します。
① 売る人(譲る人):個人 / 買う人(もらう人):個人 の場合
まず、ふつうの人同士で「タダで家をあげる」ケースです。これは税金の考え方では「贈与(プレゼント)」とみなされます。
買主(もらった人)にかかる税金:贈与税
家をもらった人は、「とても高いプレゼントをもらった」と考えられます。空き家には値段(評価額)があるので、その分だけ「得をした」とみなされ、その得した分に対して「贈与税」という税金がかかります。たとえば、1000万円の価値の家をタダでもらったら、1000万円分のプレゼントを受け取ったのと同じです。贈与税はとても高くなることが多く、びっくりするくらいの金額になることもあります。
※贈与税の税額は、末尾の(贈与税の税額)項目をご参照ください。
売主(あげた人)にかかる税金:基本的にはなし(でも注意あり)
タダであげた場合、通常はお金をもらっていないので「利益」がなく、所得税はかかりません。ただし、「本当は売れるのに、わざとタダであげた」と税務署が判断すると、「みなし譲渡」といって、売ったのと同じように税金をかけられることがあります。
ポイントまとめ
・もらった人が大きな税金(贈与税)を払う
・あげた人は基本OKだが、場合によっては課税される
・家の価値が高いほど税金も高くなる
② 売る人(譲る人):個人 /買う人(もらう人):法人(会社)の場合
次は、個人が会社にタダで空き家をあげる場合です。
買主(会社)にかかる税金:法人税
会社は、タダで資産(空き家)をもらうと、「利益が出た」と考えられます。たとえば、1000万円の価値の家をもらえば、1000万円の利益が増えたとみなされ、その分に法人税がかかります。会社にとっては「臨時収入」のようなイメージです。
売主(個人)にかかる税金:原則なしだが注意
個人はお金を受け取っていないので基本的には税金はかかりません。ただし、ここでも「みなし譲渡」のルールがあります。「本来は売れるのに会社にタダであげた」と見られると、「売ったもの」として所得税がかかる可能性があります。
また、もしその会社が自分の会社(例えば社長が自分)だった場合は、「会社に利益を与えた」として別の税務問題(役員への利益供与など)が出てくることもあります。
ポイントまとめ
・会社側に法人税がかかる
・個人は基本非課税だが例外あり
・自分の会社にあげる場合は特に注意
③売る人(譲る人):法人(会社) /買う人(もらう人):個人 の場合
今度は、会社が個人にタダで空き家をあげる場合です。
買主(個人)にかかる税金:贈与税または所得税
個人はタダでもらっているので「プレゼント」と同じ扱いになり(①の説明参照)、基本的には贈与税がかかります。ただし、その個人が会社の社長や社員など関係者だった場合、「給与の一部」や「特別な利益」とみなされて、所得税がかかることもあります。
売主(会社)にかかる税金:法人税(損金にならないことも)
会社は、本来売ればお金になるものをタダであげているので、「損をしている」ように見えます。ただし、税務上はその損がそのまま認められるとは限りません。「なぜタダであげたのか?」が大事で、理由が正当でないと「経費として認めない(損金不算入)」とされ、結果として法人税が増えることがあります。
さらに、「本来の時価で売った」とみなされて課税されるケースもあります。
ポイントまとめ
・もらった個人に大きな税金がかかる
・会社側も税金が増える可能性あり
・関係者への譲渡は特に厳しく見られる
④売る人(譲る人):法人(会社) /買う人(もらう人):法人(会社)の場合
最後は、会社同士でタダで空き家を譲るケースです。
買主(会社)にかかる税金:法人税
会社はタダで資産をもらうと、「利益が増えた」と考えられます。そのため、空き家の価値分だけ利益として計上され、法人税がかかります。
売主(会社)にかかる税金:法人税(損が認められない場合あり)
あげた会社は、「なぜタダで?」という点が重要です。正当な理由(グループ内再編など)があれば問題ない場合もありますが、そうでないと「寄付」とみなされます。この場合、「寄付金」として扱われ、全額が経費にならず、税金が増える可能性があります。
さらに、税務上は「時価で売った」とみなされることもあり、その場合は利益が出たとして法人税がかかることもあります。
ポイントまとめ
・もらった会社は利益として課税
・あげた会社は寄付扱いになることが多い
・グループ会社間でもルールがあるので注意
全体のまとめ
- 「タダ=税金ゼロ」ではない
- むしろ高い税金がかかることが多い
- 特に「もらう側」に大きな税金がかかる
- 税務署は「本当は売れるのでは?」と考える
空き家を処分したい場合、無償譲渡は一見ラクに見え、もらった側は得をするように見えますが、税金の面ではかなり不利になることが多いです。実際には「少額でも売る」「専門家に相談する」などの方法のほうが安全な場合が多いです。
◆追加資料 贈与税の税額
贈与税の税額は、基本的に「1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計額」から基礎控除などを差し引き、税率をかけて計算します。シンプルな流れで説明します。
■ 基本の計算式(暦年課税)
贈与税額 =(贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額
110万円 → 基礎控除(毎年使える)
これを超えた部分に税金がかかる
■ 税率(一般贈与財産)
(親子以外・兄弟・配偶者など)
課税価格 税率 控除額
〜200万円 10% 0円
〜300万円 15% 10万円
〜400万円 20% 25万円
〜600万円 30% 65万円
〜1,000万円 40% 125万円
〜1,500万円 45% 175万円
〜3,000万円 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
●計算例(一般贈与財産)
たとえば、他人(直系尊属以外の人)から500万円もらった場合
500万円 − 110万円 = 390万円(課税対象)
390万円 → 税率20%、控除25万円
税額 = 390万円 × 20% −25万円=53万円
■ 特例税率(親→子・孫など)
直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子・孫へ贈与
課税価格 税率 控除額
〜200万円 10% 0円
〜400万円 15% 10万円
〜600万円 20% 30万円
〜1,000万円 30% 90万円
〜1,500万円 40% 190万円
〜3,000万円 45% 265万円
4,500万円 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
●計算例
たとえば、親から500万円もらった場合(特例税率)
500万円 − 110万円 = 390万円(課税対象)
390万円 → 税率15%、控除10万円
税額 = 390万円 × 15% − 10万円=48.5万円
⇒ 約48.5万円
■ ポイント
毎年110万円以内なら基本的に非課税
まとめて大きくもらうと税率が一気に上がる
「相続時精算課税制度」という別ルールもある(最大2,500万円まで特別扱い)





