空き家管理マニュアル・火災保険
2015/12/14火災保険の概要
火災保険は、火災だけではなく住まいや家財を取り巻く、いろいろなリスクに対応しています。火災保険は、その対象を①建物のみ ②家財のみ ③建物+家財の3パターン対象があります。ここでは、火災保険の概要について説明します。
※加入の際は、空き家は一般住宅物件として、引き受けてもらえない場合もありますので、慎重に対応する必要があります。
火災リスク
火災によって建物が受けた被害に対して保険金が支払われます。※地震による火災の場合は、地震保険に加入していないと保険金は支払われません。
風災リスク
風災、雹(ひょう)災、雪災によって空き家(建物)が被害を受けた場合に保険金が支払われます。
関東、中部地方以南では、台風による被害が多いですが、北陸地方や東北地方、北海道地方などの雪の多い地域では、雪による雪災もあります。
また、昨今はゲリラ豪雨に伴い雹(ひょう)が降る場合もありますので、雹で車庫の屋根に穴が開いた場合なども保険金支払いの対象になります。
このような災害が発生した場合は、出来るだけ早く空き家をチェックしていただき、被害が出ていれば迅速に対応していただき、被害を最小限に抑えましょう。
後述しますが、被害を最小限に抑えるための費用も保険金から支払われます。ご安心ください。
水災リスク
水災(床上浸水、地盤面より45cmを越える浸水、または損害割合が30%以上の場合)により建物が被害を受けた場合に保険金が支払われます。
水災の場合、床下浸水で地盤面より45cmを超えていない浸水の場合は保険金が支払われない場合がありますので注意が必要です。
過去に、空き家のある地域が、床上浸水の被害にあったとか、地盤が低いとかの場合は、必要な保険になります。空家とはいえ畳などが濡れてしまった場合は、交換するよりほかに手はありません、その費用が保険金で支払われるわけです。
また、今までに水害に会ったことのない地域でも、昨今のゲリラ豪雨などで河川が氾濫する可能性も十分考えられますので、保険で備えるのが一番です。
※水彩リスクは、火災保険の基本引き受けに入っていない場合もありますので、ご注意ください。
水濡れ等のリスク
水濡れ、建物の外部からの物体の衝突、労働争議等に伴う破壊行為等により建物が損害を受けた場合に保険金が支払われます。
水濡れには、建物の老朽化により発生した雨漏り(台風被害で瓦が壊れて雨漏りした場合は含まれます)は含まれませんのでご注意ください。この場合の水濡れは、階上の水道管の破損により1階部分に水濡れが発生した場合などです。
建物外部からの物体の衝突とは、飛行機が近くに墜落して、その破片が家の外壁に当たり破損した場合などです。車が家の外壁に衝突した場合なども考えられます。
もちろんこれらの場合、相手がありますので求償できますが、保険会社がいったん火災保険金をお支払いし、その求償権を保険会社に譲渡するといった方法が一般的ですし、解決までに時間がかかりません。
破損等のリスク
空き家の火災、空き家の水災、空き家の風災等、空き家の水濡れ等以外の偶然な事故により空き家(建物)が破損等の損害を受けた場合に保険金が支払われます。
たとえば、空き家ではありえないかもしれませんが、洋服ダンスを処分しようと2階から1階に降ろす時に、うっかり洋服ダンスが倒れてしまい、窓ガラスに当たり窓ガラスが破損してしまった場合。
この場合、窓ガラスの復旧費用に保険金が支払われます。もしこの時にタンスも壊れてしまったら、後述します建物ではなく家財に保険が加入していれば、そちらからタンスの修理の保険金が支払われます。
この保険金は、あまり知られていないので、空き家だけではなくご自宅の火災保険もこの際に再確認していただくとよいと思います。
費用保険金
残存物取片づけ費用保険金
損害が生じた保険の対象の残存物の取片づけに必要な費用。
例:空き家建物が火災にあった場合・・・火災の燃えかすや建物の残骸を片づける費用がこの費用保険金で支払われます。
損害拡大防止費用保険金
空き家(建物)に火災、落雷、破裂・爆発の事故が生じた場合に、損害の発生および拡大防止のために支出した必要または有益な費用。
例:空き家が火事になった時に、消防車が来る前に隣家の人が自宅の消火器を使って消火活動をした。使った消火器の消火剤のつめかえ費用などはこの保険金から担保されます。
失火見舞費用保険金
保険の対象(空き家)から発生した火災、破裂・爆発の事故によって、近隣等第三者の所有物に損害が生じたときの見舞費用。1事故1被災世帯あたり50万円。ただし、支払限度額(保険金額)の20%が限度となります。
日本には、失火法という法律がありこの法律には、元来日本人が長屋での生活が主流だったことがあり、過失で火災を起こしても、隣家への類焼に関しては免責になる(責任をとらなくてよい)、という規定があります。
しかし、やはりお隣さんです、免責になるとはいえ、お詫びとしての見舞金がこの保険金で支払われます。やはり火災保険に入っておくと、万一の場合に助かりますねえ。
その他の費用保険金
今までの費用保険金以外にも修理付帯費用保険金として、損害原因調査費用、損害範囲確定費用、試運転費用、仮修理費用、仮設物設置費用、残業勤務・深夜勤務等の費用などの費用保険金があります。
例えば:空き家の屋根が台風被害で破損して雨漏りがする場合、修理までの間にビニールシートなどで覆いを作り雨漏りを未然に防ぐための費用は、「仮修理費用」として保険金が支払われます。
水道管凍結修理費用保険金
建物の専用水道管が凍結によって損害を受け、修理したときの修理費用。1事故あたり10万円が限度です。
寒冷地に住んでいる方は、家を数日間空ける場合や、天気予報で水道管凍結注意が出た場合などは、水抜きをして対応していると思います。しかし、水抜きがしてあっても水道管が凍結によって破損する場合もあります。
こういった場合も保険金の支払い対象となります。
地震火災費用保険金
地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災で、保険の対象(建物)が半焼以上(20%以上の損害)を受けた場合に、支払限度額(保険金額)の5%が支払われます。ただし、1事故1敷地内あたり300万円が限度です。
地震による火災に対する保険金は、地震保険に加入していないと支払われませんが、この地震火災費用保険金は。費用保険金として支払われるので、地震保険に加入していなくても支払われます。
実際の保険料(例)
空き家に対する火災保険と言いましても、火事だけではなく、空き家を取り巻く、いろいろなリスクに対して保険が支払われます。そのリスクを順を追って説明しました。
では、実際に空き家(建物)に火災保険を加入した場合に、いくらになるのでしょうか。具体的な金額を示します。なお、地震保険料につきましては、地区により保険料率が異なりますので、参考程度にしてください。
例:三重県津市で土地273.6㎡、建物木造平屋建てで121㎡、昭和43年建築の建物で、住宅用物件として加入する場合。約定割合100%加入で
保険料は年額で、基本部分¥27360-、地震保険部分¥18360、合計¥45720となります。
火災保険は掛け捨てで、自動車保険のように無事故割引という制度はありません。
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